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2018年の映画など
Posted by: 鈴木並木 SUZUKI Namiki (→Profile)

2018年に見た映画のなかで、よかったもの。並びは見た順。

ポール・キング「パディントン2」(2017/英語)
草野なつか「王国(あるいはその家について)」(2017−2018/日本語/150分版)
ラウル・ペック「私はあなたのニグロではない」(2016/英語)
ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(2017/英語)
ブラッド・バード「インクレディブル・ファミリー」(2018/英語)
三宅唱「きみの鳥はうたえる」(2018/日本語)
チャン・ジュナン「1987、ある闘いの真実」(2017/朝鮮語)
英勉「3D彼女 リアルガール」(2018/日本語)
ジョン・M・チュウ「クレイジー・リッチ!」(2018/英語など)
川口勉「彼らの原発」(2017/日本語)

☆スペシャル・メンション
ベストODS:花組 東京宝塚劇場公演『ポーの一族』千秋楽 ライブ中継@TOHOシネマズ新宿(3/25)
主演男優賞:ドウェイン・ジョンソン(「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」「ランペイジ 巨獣大乱闘」「スカイスクレイパー」)
ベスト・トーク:映画『三里塚のイカロス』DVD発売記念イベント「永続敗戦レジームと新左翼運動」@紀伊國屋書店新宿本店9階イベントスペース(出演:白井聡×代島治彦、8/2)
ベスト特集:戦後映画史を生きる 柳澤寿男監督特集@シネマヴェーラ渋谷

☆ほんとはこっち
エドワード・ヤン「一一」@香港・百老匯電影中心
只石博紀「季節の記憶(仮)」@新宿・ケイズシネマ
アラン・ベルリナー「The Sweetest Sound」@渋谷・ラストワルツ「渋谷並木座 Vol.2」

グッド10が新作だけになったのはたまたまです。日本語映画の2018年は、少なくとも21世紀に入ってからいちばん充実していた年のひとつだったと思うので、自分の属している場所以外にも目配りできる超人的な誰かに、きちんと振り返っておいてほしい。たとえば揶揄されがちな少女マンガ原作ものひとつとっても、5年前といまとではぜんぜん状況が違うはずで、となると、ここ10年くらいの動きを概観する必要があるわけだから、まあたいへんな作業ですよね。

個人的には、2018年のほとんどを無職として過ごすことになり、時間はあったもののお金はなく、あげくのはてには電車賃ももったいないという気持ちになったりもして、その結果、自分が楽しめなさそうな予感のするものは積極的に見送るという、とうの昔にできているべきだった習慣がようやく身につきました。しかしイーストウッドは何人かにそそのかされてうっかり見てしまったので、2019年以降は見ないことにする。

それとは別に、見たい気はするけど見逃してしまったものもそこそこあって、そうしたなかで、やっぱり見ておけばよかったなと思っているのは「心と体と」「サーチ」「ア・ゴースト・ストーリー」くらいかな。後者の2本はこれからどこかで拾えるだろうけど。

「ほんとはこっち」枠の3本について。

エドワード・ヤンの「ヤンヤン 夏の想い出」はたぶん3回目か4回目で、やはり彼の映画ではこれがいちばん好き。初めて訪れた香港、日曜の21時からこの3時間弱の映画を見て、外に出てみると、年に1回か2回あるかないかの、特別な経験だったんだなとわかった。どうやら自分は、母語以外ではエモくなれないというか、オンリー日本語キャン・ブレイク・ユア・ハート的な思いを無意識のうちに持っていたようなんだけど、呉念真とイッセー尾形の英語での対話を聞いていたら、それがくつがえされた。ここでふたりが英語で話すのは、たとえばハリウッド映画でアフリカの土人までもが英語で話すのとはぜんぜん別の必然性に基づいているわけよ! とか考えながら、旺角の宿まで歩いた。ビルの外壁工事の足場は、2018年になってもまだ竹で組まれてた。

「季節の記憶(仮)」については、すでにさんざん話したり書いたりした気がする。たった1週間のあいだ、1日1回、合計7回だけとはいえ、映画館の設備で上映された意義というか迫力というか破壊力は、これまたやはり、体験してみないと絶対にわからないこと。

「The Sweetest Sound」は自分で字幕を付けて上映(たぶんジャパン・プレミア)したので、少なく見積もってもトータル10回くらいは通しで見た計算になるはず。めちゃくちゃ勉強になった。普段、わたしも含めた映画ファンって、自分がわかるところだけ、生半可な知識でもって、戸田奈津子の字幕を笑いものにしたりしますが、1本の映画のすべての言葉を理解するって普通に大仕事だよ。小津とかの伝説でフィルムを1コマ切っただの切らないだとかの話があって、もちろんその境地に近づけるはずもないんですが、それでも、1秒の無限の長さだとか、字幕1文字2文字をめぐる攻防だとかを体で覚えられたのは財産になりました。それはもちろんこの映画が、そうしたシヴィアな時間(=編集)の感覚を持った作品だから、というのも大きい。結局のところ自分にとって、映画とは編集(=時間をどう操作するか)なんですよ。ほんとはこれが2018年のベスト。

「季節の記憶(仮)」と「The Sweetest Sound」の上映活動をめぐっては、宣伝の重要性についてもなにかと考えさせられました。たいして面白くもないひとたちや作品が、宣伝によってさも大層なもののような印象を与えるのに成功しているのを見るのは、負け惜しみではあるんだけど、正直言って腹立たしかった。2019年はなるべく、実力以上に評価されたいし、身のまわりの面白いひとたちを盛り立てていきたい。ただ有名人とつるみたいだけのつまらないひとたちは、反省しながら虚空へと消滅していっていただきたい。

普通に読める日本語の雑誌「トラベシア」は、今年も発行される予定。ただしいままでとは若干顔ぶれが異なってくるはずです。

本年がみなさまとわたしにとって、楽しいこといっぱいの、よい年になりますように。

映画
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